ナイル水辺の「古代エジプトのピラミッド」を眺めに行こう。('24.05.21)#

古代エジプトのピラミッドは、昔の川辺や当時の水路沿いに位置していた#

「古代エジプトのピラミッドは、昔の川辺や当時の水路沿いに位置していた」という研究が、ノースカロライナ大学ウィルミントン校などの研究グロープから報告されました(論文PDF)。 報告された内容の、結論部分を示すとこうなります。

今から約1万年前に最終氷期が終わり、その後、現在から約6000年前に、エジプトでピラミッドが作られます。 その頃のエジプトはアフリカ湿潤期を迎えていました。 雨量が多く、ナイル川の川幅は広く、たくさんの支流・水路がありました。 そんな水辺沿いに、ピラミッドは作られていたというのです。

_images/day_240521_gdal_pyramid_egypt-pyramida.jpg

図 1 エジプトのピラミッド#

ETOPOデータでカイロ近郊の標高データを眺めてみよう#

Software Design誌2024年6月号に書いた、「人類の歩みを眺めるために,過去の世界に行ってみる〜昭和初期から最終氷期まで,時代の水辺にダイブする〜」の手順・コードで、ETOPOデータでカイロ近郊の標高データを眺めてみることにします。

まず始めに、ETOPOデータをダウンロードします。 ETOPO Global Relief ModelGrid Extractから、所望の場所のデータを手に入れましょう。 Grid Extractは、

  • データ種を選ぶ

  • 領域を選択する(地図上の領域選択ツールか緯度経度を数値入力する

  • Download Data ボタンを押す

という手順で使います。 Download Dataボタンを押せば、GeoTIFFがexportImage.tiffという名前でダウンロードされます。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

from osgeo import gdal # conda install conda-forge::gdal
gdal.UseExceptions()

# GeoTIFFを読み込み、指定した高さを基準に地図を描く関数を作る
# 緯度経度での領域選択を行う部分はコメントアウトしています
def draw_map(file, height):
    ds=gdal.Open(file)
    elevation=ds.ReadAsArray() 
    nrows, ncols=elevation.shape
    #x0, dx, dxdy, y0, dydx, dy = ds.GetGeoTransform()
    #x1 = x0 + dx * ncols
    #y1 = y0 + dy * nrows
    fig=plt.figure(figsize=[200,100])
    plt.imshow(np.clip(elevation[50:150,50:150], height, height+100),
               cmap='gist_earth') #, extent=[x0, x1, y1, y0])
    plt.show()

# ダウンロードしたETOPOデータを描画する
file='data/day_240521_gdal_pyramid_exportImage.tiff' # 元ファイル名はexportImage.tiff
height = 20
draw_map(file, height)
_images/4ef1886dc53376fb530c90ae36d0f3429ec9cd22099b2c42fc1a0eaf0dc8876e.png

過去の水辺に吹く風を感じたい。#

地形を可視化してみると、古代エジプトのピラミッド群は、ナイル川がさまざまに流れていた流域で、その丘上に位置していたように見えます。 それはまるで、日本最大の古墳である仁徳天皇陵(大仙陵古墳)を含む百舌鳥(もず)古墳群が、大阪の上町台地上に並んでいることと似ています。 エジプトの水辺で、少し小高い場所に並ぶピラミッドを眺めて、水辺を歩く人類の背中を押した、過去の水辺に吹く風を感じたくなります。